「観天望気(かんてんぼうき)」とは、自然現象や生物の行動の様子などから天気を予測することです。
また、その元となる条件と結論を述べた「天気のことわざ」のような伝承のことです。
空気の温度や湿度、雨の降り具合、風向きや強さ、 雲の形や色とその変化状況を見たり、あるいは動物や昆虫の行動などを注意深く観察し、その蓄積した経験を元に天気を予測したもので、
各地に「天気のことわざ」として語り継がれています。
もちろん、これらの「ことわざ」は、その地方だけにしかあてはまらないものもあり、また、すべてが正しいとは言えません。地球温暖化の影響で、現状に合った「新観天望気」が必要ですね。
ここでは、栃木県中央部さくら市を中心とした地域に伝承的口伝的に残っている「観天望気」を集めてみました。
▼当地から日光連山と羽黒山が遠望できます。
参考文献
【1】氏家町史[民族編](現さくら市)1989年(昭和64年)発行
【2】下野の故事とことわざ辞典(栃木県教育研究所)1981年(昭和56年)発行(絶版)
1 | 入り日(夕日)が良いと明日は良い天気 | 参 考 |
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晴れ | 入り日が美しいようだと明日良い天気になる。 西の空は遠くまで雲がないことになり明日の良い天気が約束される。 (写真)日光連山に沈む夕日 毎年の4月25日前後18:20頃観測可 左側の光っているのはFM放送のアンテナタワー。 |
入り日の赤きは照りつづく |
2 | 朝霧がかかれば良い天気 | 参 考 |
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晴れ | 朝霧が深いようだと日中は良い天気になる。 霧でも、輻射霧は、高気圧で夜間天気が良く輻射によって地面が冷却し、空気が冷やされ、水蒸気が凝結して霧となる。 こうした霧は日中になると消え、本来の晴天となる。Photo:市役所北側(2022年11月22日 07:00am) |
朝霧深きは晴れ兆し |
3 | 星がいっぱい出ると明日は晴れる | 参 考 |
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晴れ | 星がきれいに出て、よく見える時は、晴天がつづく。 高気圧に覆われ空気が澄んで安定しているからである。 ● 星のキラキラ 明日は強風 Photo:鬼怒川大橋河川敷、ヘール・ボップ彗星 C/1995, 01 |
星のきらめき明日も晴れ |
4 | いわし雲が夕刻出ると明日は晴れる | 参 考 |
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晴れ | いわし雲は代表的な秋の雲(巻積雲)である。このような高い雲がみられるのは、高気圧帯下にあるためで安定している。 夕刻見られることは、明日は晴れる。しかし天候は下り坂である(Photo拙宅上空) ●飛行機雲が、太れば明日は 雨となる ●飛行機雲が、すぐに消えれば晴れ続く |
いわし雲あれば後晴れる |
5 | 西風が吹くと次の日晴れる | 参 考 |
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晴れ | 冬の大陸性高気圧の張り出しによる西高東低の気圧配置の場合と、春・秋の移動性高気圧に伴う西風のこと。 翌日は高気圧帯下に入り晴れる。 |
雲が東へ飛べば晴てくる |
6 | 虹がたつと晴れになる | 参 考 |
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晴れ | 西であれ東であれ、虹は雨後にたつから、一般には晴天になるのが普通である。 | 夕虹三日の晴れつづく |
7 | 筑波山が見えると天気がよい | 参 考 |
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晴れ | 筑波山はさくら市では「望気」の山である。約40kmも離れ孤立峰で標高800mもあるため、ハッキリ見えると途中の空気が澄んで高気圧下にあることがわかる。 | 筑波見えれば晴れつづく |
8 | 筑波山に帯雲がかかると雨 | 参 考 |
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雨 | 筑波山など高い山の斜面に沿って風が舞い上がり頂上付近で雲をつくる。この時は、中・上空の気流が乱れており、雨となることが多い。 | 筑波の笠雲その日がもたぬ |
9 | 筑波またぎの虹はその日の雨 | 参 考 |
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雨 | 筑波山をまたぐように虹が出ると雨が降ってくる。栃木県は南から天気がくずれる。南に位置する筑波が雨模様だと間もなく当地も雨となる。 | 筑波に虹はその日荒れ |
10 | 高原山が見えぬと雨になる | 参 考 |
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雨 | 県央部のさくら市にとっては、高原山(たかはらさん)は「望気」の山。夏の高原山の雲の動きで夕立(雷雨)を予報する。 | 高原に笠雲かかれば雨近し |
11 | 高原山から雲が出て東に回ると夕立 | 参 考 |
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雨 | 気流の方向で夕立(雷雨)を予報する。「高原雷」と呼ばれている。 | 高原に帯雲かかれば雨となる |
12 | 高原山に虹が立つと大雨 | 参 考 |
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雨 | 夏型の気圧配置(小笠原高気圧)での前線の働きで大雨となることがある。(気圧が不安定な時期) | [逆説] 高原に北虹立つと百日照り |
13 | 男体山に帯雲かかると雨になる | 参 考 |
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雨 | 県央部のさくら市では、2000m級の日光連山は「望気」の山。高い山の斜面に沿って風が舞い上がり中腹に「帯状の雲」をつくる。この後は、中・上空の気流が乱れて、雨となることが多い。 | 男体が帯雲巻けば雨近し |
14 | 男体山に雲がかかると雨になる | 参 考 |
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雨 | 男体山が雲に隠れて見えなくなるとその日は雨になる。前線の到来を意味するので次第に天気が悪くなる。 | 男体見えぬと風が吹く |
15 | 男体またぎの虹七日の荒れ | 参 考 |
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雨 | 日光の男体山の方向に、それをまたいで虹が立つと七日間も荒れる。男体山方向は北西の空。朝、虹が立つのは降雨があるわけで、前線の到来を予告している。冬は強風、夏は強雷となる。 | 西虹がかかったら大出水 |
16 | 日光蓑(みの)に 筑波笠(かさ) | 参 考 |
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雨 | 男体山、筑波山の2つの山がまとう雲の形は近づく雨を知らせる。前線の到来を意味するので次第に天気が悪くなる。 | 栃木、茨城 両県の観天望気の山 |
17 | 雷が多いと米が豊作 | 参 考 |
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雷 | 夏の雷は主に熱雷が多い。ということは天気が良いわけで稲の育ちもよい。発雷日数と米の反当たり収穫量には相関が高いという統計が宇都宮気象台にある。 | 雷多ければ実りあり |
18 | 雷が鳴ったら麻の蚊帳に入れ | 参 考 |
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雷 | 麻の繊維は湿気を含む。この中に入れば雷電流は蚊帳を流れて避雷効果が期待できる。(実験で実証済み)自動車内に逃げ込むことと、同様な避雷効果である。 | 雷鳴れば麻畑に逃げろ |
19 | 雷が続けて鳴れば梅雨が明ける | 参 考 |
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雷 | 7月に入ると発雷が多くなる。このころの雷は梅雨明けを告げる。内陸部の栃木県も小笠原高気圧帯に入り真夏となる。 | 雷三日で梅雨あける |
20 | 発雷時は大樹の下に入るな | 参 考 |
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雷 | 静電気の集まりやすい高木や建物などには落雷しやすいので避けよという。 | 発雷時は大樹に頼るな |
21 | 雷は北西から来るのが一番強い | 参 考 |
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雷 | 栃木の雷は、北西から南東に移動する。北西の県境には高山があり雷の発生場所となっている。その土地(山)の名前を付けて那須雷、高原雷、日光雷、足尾雷、赤城雷などと呼ぶ。近年は八溝雷も襲来するが・・・地球気象の異変のためか? | 南の雷は雨降らず |
22 | 日光連山に腰雲湧けば強雷 | 参 考 |
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雷 | 日光連山に入道雲が発生すると偏西風に運ばれて激しい雷雨となる。これが、「日光雷」である。 | 男体に霧がかかれば雷となる |
23 | 富士西(ふじみし)雷は速くて強い | 参 考 |
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雷 | めったにないが、秩父方面からの雷雲は、激しくて早足である。近年は、東京湾方面の海からくる雷が強雷である。(ふじみし)=ふじにし/の訛り。 | 富士西雷は飯三杯でやってくる |
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