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無線工房

QFHアンテナの試作  2010年(H22)3月


■QFHアンテナは気象衛星NOAAがVHF 137MHz(FM50kHz)の電波で送ってくるAPT信号を受信するためのアンテナです。

円偏波のフェージングが無くなり、きれいな画像受信ができました。






●パート1(自作品事例です)

↓クリック一発(下段のはじめへ)
気象衛星NOAAの受信用QFHアンテナの自作例です。円偏波フェージングも無くなり、きれいな画像受信ができました。




●パート2(市販品事例です)

↓クリック一発 (別のページにジャンプします)

sisaku  



はじめに

【1】QFHアンテナは気象衛星NOAAがVHF 137MHz(WFM50kHz)の電波で送ってくるAPT信号を受信するためのアンテナです。
「クワッドリファイラー へリックス アンテナ」(
QuadriFilar Helix Antenna)の略称です。

【2】NOAAは「ノア」と読みます。
米国海洋大気庁「
National Oceanic and Atmospheric Administration」の略称です。

【3】APTは「気象衛星NOAAから送られる雲画像ファックス」 (Automatic Picture Transmission)の略称です。


下の写真は、自作した「QFHアンテナの完成時」です。


下の雲画像はNOAA 19からの受信音響を、「WXtoImg」アプリにより復調(フォルス カラー化)した画像です。
「春分の日」の翌日 2010(H22).3.22 12:29 昼時の雲画像です。

画像表示用アプリは、下記サイトから無料でダウンロードできます。


おすすめデコードアプリ

Download WXtoImg (無料) へのリンク
ニュージーランド製品です。疑似カラー画像が楽しめます!
私は、これを使用しています。

WXtoImg 取扱マニュアル(日本語版) へのリンク


参考Webサイト (クリック一発)

気象衛星NOAAの受信画像(Top) へのリンク

NOAA気象衛星運用状況      へのリンク

★下記のサイトは、NOAA画像受信について、とても参考になります。
PDFファイルです。
(小学生高学年 以上向け解説です)

NOAA気象衛星雲画像を受信する方法   ← クリック一発

教材提供  :日本宇宙少年団厚木分団 林正之氏
お問合せ先:財団法人日本宇宙少年団
発行 :宇宙航空研究開発機構 宇宙教育センター

★気象衛星 NOAA 受信方法・・・・詳細な解説です。





★QFHアンテナ工作手順★

★今回の試作は下記のサイトを参考にしました。
ビル・サイクスさんとボブ・コベイさん!へのリンク

Bill Sykes氏と Bob Cobey氏らのサイト資料によれば、QFHアンテナは円偏波アンテナで、最大利得は5.64[dBi]。

水平面の指向性は円形均一な特性であり、垂直面の半値角は、100[deg]で低仰角の信号受信を可能にしている。
エレメントの外形寸法は高さ560mm、直径374mmの円柱形。
−−−−−−
八木アンテナなど指向性のあるもので、自動追尾するのが理想的ですが、QFHアンテナの簡単な設備でも、良好な画像が得られます。
「QFH+ハム用受信機+パソコン」で、地上約850kmからのAPT雲画像が容易に得られます。
−−−−−−

【1】学習しましょう・・・2の1
写真は、スタディー模型です。(共振周波数137.550 MHz)

このエレメントの回転方向を逆に製作して失敗している方が
サイトで見受けられます。
NOAAは、右旋円偏波(CW: clockwise)で送信してます。
このため、模型を作り、これを基に正確に工作します。



【2】学習しましょう・・・2の2

下の画像(CG)は、このアンテナの給電部です。5D−2Vとエルボを使って接続します。

このエルボ使用は、私のアイディア(着想)です。
この頂部は、最後に「ホットボンド」で接着固定し最後に塩ビキャップを被せて強度を持たせます。
◆特にエレメントの微風振動による同軸芯線の断芯が 無いようハンダ付けには注意してください。


製作要点: スモールエレメントとラージエレメントの接続を間違いないことです。
下の仮組写真を参考に製作してください。




【3】さて工作にはいります・・・・工具の準備

工作工具類を準備します。

特別な工具は、エレメントの接続(ハンダ付け)に使うガスバーナー、液体フラックスとハンダ(フラックス無し)くらいですね。

近くの工務店(住宅設備工事店)から借りてきました。
ここには、ありませんが「ホットボンド用スティク」が必要です。



【4】材料の準備 

ここでは、外径8mmの灯油配管(銅パイプ)を用意します。

この銅パイプは、一巻20mが定尺で売られている物です。住宅設備機器問屋から入手しました。

実際には、5mあれば足りますが、DIY店で1m物を5本買うより安価でした。
一巻20m(塩ビ被覆)で約7,000円でした。90度エルボも一緒に用意します。(10個)



【5】支柱加工(頂部)



頂部の穴開け加工ですが、できるだけ正確に加工してください。
バランの穴は、同軸ケーブルを通し易いようにヤスリで斜めの溝を作ります。

このバラン(Balun)は、平衡ではないアンテナを同軸ケーブルに接続するためのフロートバランです。
したがって、出来るだけ給電部に近づけて巻き付けてください。ここでの65mmは加工の容易さで決めました。




【6】支柱加工(下部)




下部加工も、エレメントがスムースに貫通するように正確に穴位置を決めてください。
ここでは、1個づつ計4個の穴をあけることがコツです。
卓上ボール盤での「貫通あけ」は、正確に塩ビパイプ中心をセットしないと失敗します。



【7】エレメント加工 


上部エレメント:178mm×2本  182mm×2本
下部エレメント:356mm×1本  374mm×1本

スモールループ:758mm×2本
ラージ ループ :812mm×2本

巻いてある銅パイプを真っ直ぐにするには、カーペット上で足の指で踏みつけながらスライドさせると簡単です。

エレメントの成型は、自動車の16インチタイヤ外周に押しつけると
簡単に成型できます。平面円弧です。ねじれはありません。

仮り組の段階で、細部の曲げを修正します。この時点で、各部の寸法を確認します。

(注)全てのエレメントの両端はエルボとのハンダ付け接続のため塩ビ被覆をむき取ってください。(約15mm)




【8】仮り組(プロトタイプ) 

(注)上部スモールループ材は24mm下向きに曲げます。ラージループ材は水平のままです。
エレメントの加工が済みましたら、仮り組をしてみます。

@バラン(Balun)作製
5D-2Vを塩ビ支柱(VP-25)の下端から通し、バランの下部穴から支柱の外側に出し、4回巻き付け支柱の内部に差し込み、頂部に先端をだします。木ハンマーでタタキながら巻き付けると簡単です。

A支柱の穴に上下エレメントを通しテープで仮止めします。つぎに、エルボでループエレメントを仮接続します。

Bこの時点で、各部の寸法を確認します。

以上でプロトタイプの出来上がりです。



バランの写真は、完成後です。



【9】頂部加工の詳細 

以下に給電部の加工詳細を示します。[スモールループ]と[ラージループ]の接続を何度も確認してください!





【10】給電部の接続 

(注) エレメントの微風振動による同軸線の断芯が無いようハンダ付けは堅牢にしてください。ビス留めが★Good !です。 





【11】エルボ接続加工 
※【エレメントとエルボの半田付けは仮組状態で1箇所づつ行います】※







【銅管継手接合手順】  YouTube 動画です。

ガスバーナーと液状フラックス等をお使い下さい。手順通りガスバーナーを使うと1箇所30秒で接続完了します。
半田は、パイプとエルボの隙間に、瞬間的にスーッと染み込みます。火傷予防に作業用革手袋をお使い下さい。

エルボ部分には、上の写真のとおり銅パイプ腐食防止のためチューブを被せてください。(接続する前にあらかじめパイプに通しておきます)



【12】組み立て完了 

塩ビ支柱方向から見るとエレメントが真円に見えます。


塗装:酸性雨による銅パイプ腐食(緑青発生)防止にもなります。

白色塗装(フッ素樹脂系)をして乾燥中・・・(耐久年数 : 13年〜15年)
塗装すると、見栄えがします。。。マリンイメージ !?
 [アンテナ強度] 
このまま横倒ししても、エレメントが曲がるような事はありません。台風で吹き飛んでは危険ですので頑丈に製作します!




【13】完 成 

(注)上部スモール水平材は24mm下向きに曲げます。ラージ水平材は水平のままです。


↓ラージループ側から見る



◆マスト取付後の共振周波数測定

当初設定の寸法のままで、共振周波数は右の通り→137.550MHz VSWR=1:1.2 、Z = 51 Ω ★Good !
 



なお、共振周波数が 131.30MHz付近にもありました。
ACARS(エーカース航空機関連データ通信の受信に使えますね。
周波数は、131.250、131.450、131.950MHz
(注:共振点は設置環境で変わりますので参考まで)

測定器は クラニシ 計器製
Standing Wave Analyzer BR−200 を使いまた。


パンザーマストに設置、QFHアンテナの地上高は約15mです。

左:上段が1.2GHzコーリニアGP-21 、下段が広帯域デスコーンD-130
右:上段が今回製作のQFH、下段が地デジテレビANT



酸性雨 

エレメント腐食防止対策をしないとこうなりますよ。
酸性雨の原因物質である硫黄酸化物と窒素酸化物を削減する対策が世界的に推進されていますが・・・



●既製品QFHアンテナ情報

平成22年3月末にナガラ電子工業からQFH-137が新発売されました。
販売価格 約 16,000円、高さ 約1m、前後左右 約0.42m、重量 1.10Kg



◆参考リンク


市販品 QFH-137組立キット(NAGARA社製品)のレビュー記事はこちらです 

●パート2(私の組み立て事例です)
市販品 QFH-137組立キット(NAGARA社製品)の 組み立て記事はこちらです。






◆NOAAーAPT 専用受信機
《余談》


【参考】

R 139 取説、調整、回路図など PDF

R 139  受信機の解説 PDF


米国 ハムトロニクス社製

Hamtronics, Inc. 65 Moul Rd., Hilton, NY 14468-9535 U.S.A.

R139 Rev-D Weather Fax Receiver

Channels : 137.100, 137.500, 137.620, & 137.9125MHz NOAA APT Satellites and 137.400 Meteor.

当初、ICOMのIC-910D(受信帯域拡張済み)を使用しましたが、中間周波数帯域幅が15kHzのためファックス信号にノイズが混じり、鮮明な画像受信ができませんでした。

APTの受信帯域幅は、30kHz〜50kHzが必要ですので、受信機はこの帯域幅を扱えるものが好ましいです。
ワイドFMは一般な無線機では 230KHz、ナローFMは上述の通り15KHzですから、NOAAはその間です。

そこで、R139専用受信機を購入しました。少し勿体ないと思いましたが円高の時期でしたので・・

◆個人輸入(2010年3月)しました。Eメール発注10日で手元に届きました。
(「PayPal」で支払、$279)
追記:2016年に、R-139製造中止になったようです)

−−−
 R139 Rev-D Weather Fax Receiver











気象関係参考図書

おすすめ書=図書館で下見してから購入をお決め下さい。


【1】一般気象学 第2版 小倉義光 東京大学出版会 ISBN978-4−13−062706−6

【2】気象予報のための 天気図のみかた 下山紀夫 東京堂出版 ISBN978-4−490−20832−0

【3】気象衛星画像の見方と使い方  長谷川隆司ほか オーム社 ISBN978-4−274−20212−7

【4】よくわかる気象・天気図の読み方・楽しみ方 木村龍治 成美堂 ISBN978-4−415−02683−4

【5】雲をみればわかる明日の天気 塚本治弘  地球丸 ISBN978-4−86067−066−5

【6】空の名前 高橋健司 光琳社 ISBN978-4−7713−0123−9

【7】
完全図解 気象百科 櫃間道夫  オーム社 ISBN978-4−274−94889−7

【8】
最新・天気予報用語集 新田 尚  東京堂出版 ISBN978-4−490−10775−3

【9】
天気予報が楽しみになる本(小中学生向け)  渡辺博栄  数研 ISBN978-4−410−13829−4

【10】
健康気象学入門(相関指数 確率9割)村山貢司 日東書院 ISBN978-4−528−01687−3



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