★ はじめに ★

     ★ 「しぶんぎ座流星群」  2014. 1. 4 明け方 4 時ごろ。
       ここ数年間内で、眼視、電波ともに最高条件で観測できます。

       (流星と流れ星は全く同じものです。流星は専門用語ですね)

       流星エコーを聞くだけならば、アンテナと無線機が揃えばOKです。
       十数年ぶりに、流星エコーを聞いてみようと思い立ちました。

       そこで、流星エコー用受信アンテナを緊急整備しましたので紹介します。  ( 受信機は IC-R8500 広帯域受信機 )

     ★ 詳しくは、検索サイトで「流星電波観測」と入力すれば、非常に多くの解説資料が検索できます。

     ★ この記事の最下段にもWebsiteを紹介してあります。


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     今回は、十数年前に使っていました「4el-HB9CV」を撤去してしまったので、急きょ「2el-HB9CV」を製作
     常設(固定設備)としました。
     「2el-HB9CV」は、あまり指向性が強くないので、観測面積を稼ぐ上で有効です。(半値角≒70°)
     簡便さと費用抑制のため市販のHam用アンテナを改造しました
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     ◆【流星電波観測】の方法は、HRO(Ham Radio Observation)方式です。

     この方式は、福井県鯖江市にある 「 国立福井高専 」 構内から天頂に向け発射された電波が、流星で反射してくるのを
     受信する観測方法です。
この反射電波を「流星エコー」と呼びます。

     送信電波は24時間常時発射され、その周波数はアマチュア無線用50MHz帯(53.750MHz、出力50W、JA9YDB)です。

     流星エコーの受信は、受信機周波数をUSBモードで送信周波数よりも、800Hz 低い 53.7492 MHzに合わせます。

     すると【 送信周波数-受信周波数=800Hz 】となり、受信機のスピーカーから「ポー」という心地よい音が聞こえます。
     この音は、一瞬ですので注意深く聴くことがポイントです。


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      さて、前書きが長くなりました。この辺で本題に入ります。
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     【1】 アマチュア無線用50MHz帯アンテナを改造使用


◆市販のアマチュア無線用アンテナを使う
のが最も簡単です。

今回は、費用抑制のため安価な物を購入
しました。

 Point !  流星エコー観測用に・・・・・・、
       エレメントを短縮加工しました。


COMET 社製品 : CA-52HB
             (2el-HB9CV Type)

耐 風 速 :  瞬間最大風速 30 [m/s]  

アンテナ本体質量: 約 910 [ g ] 

実売価格(2013年): 約 8,600 円 



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    【2】 CA-52HB(2el-HB9CV Type)の詳細(Manual)

        新規に購入したアンテナのマニュアルです。


画像をクリックすれば拡大図が表示されます。

サイズが大きいのでパソコンによっては、時間がかかる
場合があります。

開いたら、もう一度クリック一発でさらに拡大。。。



画像をクリックすれば拡大図が表示されます。

サイズが大きいのでパソコンによっては、時間がかかる
場合があります。

開いたら、もう一度クリック一発でさらに拡大。。。


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     【3】 CA-52HBアンテナの同調周波数の調整 

  同調周波数をHRO流星エコー受信用に調整します。

  このCA-52HBは、51.00MHzに同調するようエレメント寸法が作られていますので、53.750MHz用に改造します。

  この改造寸法データは、「流星電波観測ガイドブック」(絶版)CQ Ham Radio 増刊 [2002年10月1日発行] P.76
  JH0UTC(永井氏)の試作例を参考にさせていただきました。
  最終調整は、設置場所によりVSWR値を53.750MHzで最小にすればOKです。

左図は改造後寸法 

(設置場所により調整すると更に良い)

VSWR値の調整は、Radiator側のショート
ブラケットの移動により行います。

左図では420mmですが、外側に移動
すると周波数が高くなります。
(1cm当たり約50kHz変化します)。

それでも、VSWR値が下がらない場合は
反射器側のショートブラケットで調整します。


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     【4】 改造工作の詳細・・・超簡単10分もあれば終わります 

梱包箱の片端を開封しパーツリストにより、
各部品を確認します。


開封は箱の片側だけで良く、エレメントなどを
引き出します。

スプリング座金以外は、アルミまたはステンレス
材です。

梱包箱は、移動運用の際・・運搬箱に使えます
ので保管します。


◆写真上段に見える屋内配線用電線(端子付き)は
中央部で捻れて反転していますが、このままにして
ください。

この部品は「フェーズライン(Phase-Line)」と呼び
位相差給電方式アンテナの重要部品です。


◆さて、エレメントの「短縮加工」作業です。

工具類は、普段の工具があれば大丈夫です。
ドライバーはN0.1(太い方)です。


◆エレメントは、Radiato(放射器)、Reflector
(反射器)共に 短縮加工します。
(加工作業はこれだけです)

今回は中央エレメントの中に挿入する方法です。
( 両端を切断しても良いでしょう )
中心エレメント(水色)長は、変更しません( 600 mm )


◆エレメントの短縮加工法 

規定の短縮寸法に挿入したら、ビニルテープで
仮止めします。
中央エレメントの既存の3mmビス穴をガイドに
貫通穴(注)をあけます。
これにビスを通して止めます。

 Point !  
この時、一気に片方から穴を明けると失敗します。
センターELにはビス穴が明いています。

パイプ(エレメント)を裏返しして、その穴をガイドに
ドリルの歯を当てます。

四ヶ所×2回=計8回で加工完了です。

◆四ヶ所の「穴開け加工」が終われば・・・・組立です。


  ※ エレメントと調整用ロッドの短絡金具 ※

◆エレメントの組み立て

ショート金具(Short Bracket)は、下の写真のように
片方のビスを外して置けば、容易に取り付けられます。
バラしてしまうと、面倒です。
(ビスの長さが短めなので)



◆エレメントの接合部分はナットの緩み防止のため
ペイントまたは自己融着テープを巻き付けます。


◆放射器(Radiator)側の組み立て

ここでは、フェーズラインの黒線端子はブームに
接続されるよう取り付けます。(重要)


調整棒は、同軸コネクター付きを使います。


◆反射器(Reflector)側の組み立て

ここでも、フェーズラインの黒線端子はブームに
接続されるよう取り付けます。(重要)


  調整棒は、同軸コネクター無しを使います。


◆組み立てが完了しました。

  Point !  各部のネジ締め付けを
         もう一度点検します。

マストに取り付ける前に、同軸ケーブルを
  付けます。
 
  私の場合アンテナ付近は、5D-2V≒5m
  これに8D-2V≒15mを繋いで受信機まで
  引き込みました。(遊休ケーブル使用)



◆マスト取付後の共振周波数測定

 当初設定の寸法のままで下記の通り★Good !

  53.750 MHz : VSWR=1:1.1  Z = 51 Ω

 なお、上記の他に 51.10MHz 付近にも共振点が
 ありました。(設置環境で変わりますので参考まで)
 測定器はKuranisi製 Standing Wave Analyzer
 BR-200を使いました。



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      【5】 アンテナの設置 ( CA-52HB改造後 ) 

◆マストに設置した写真です。

[ 屋上設置、地上≒12m ]
 (上のパラボラは5.6GHz帯用です)

我が家から鯖江市は、方位角257°で
距離は約350kmになります。

HROのホームページの説明通り、アンテナ
ビームは水平に設置しました。
(若干、仰角を付けた方が良いかも?)

HROは約20年前から受信してましたから
簡単に設置完了。。。



 ◆ アンテナを「 福井県 鯖江市 」に向ける。(方位磁石使用)

 ① 地形図、カシミール3D、Googie Earth などで真北を基準 とした「鯖江市の方位角」を調べます。

   ● 我が家( HROのアンテナ位置 )では・・・ 264°30′00″ (264.5°)

 ② 次に、磁北を基準とした鯖江市の方位角を計算(引き算)

    我が家の西偏は、7°30′00″(7.5°) よって 264.5-7.5°=257° であることがわかります。

 ③ 最終的には・・・方位磁針を磁北に合わせ、そのまま磁石目盛の257°に アンテナ方向を向け固定しました。

    ※ 現実は、これほどの正確さは必要ありませんが・・・ 物の道理というものでしょうか?

 詳しくは  「簡単!コンパス使ってパラボラ向ける」   ←クリック一発  をご参照ください。

◆鯖江市は約350km彼方です。


 ◆ 設置完了後の受信テスト

取りあえず、散在流星エコー?が受かっている
ので、アンテナとしては動作しているようです。

 ← 2013/12/27 07:40 JST



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     【6】 RHO 関係 Software 

       ※ フリーウェア (Websiteから入手可能) ※ 
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       ★ MROFFT ★   ←クリック一発
      http://nap.dip.jp/michi/meteor/mrofft/index.html
      流星エコー音声を画像ファイルにして記録するソフト
      -----------------------
       ★ spec-recorder ★  ←クリック一発
      http://sourceforge.jp/projects/spec-recorder/
      流星エコー音声を画像ファイルにして記録するソフト
      -----------------------
       ★ 流星の電波観測 ★  ←クリック一発 
      http://nap.dip.jp/~michi/meteor/index.html
      -----------------------
      HROView (Ver.2.11b、2003.12.12版)    ←クリック一発
      HROFFT&MROFFTの画像をチェック&集計するのに便利なソフト
      http://nap.dip.jp/~michi/meteor/hroview2/index.html
      -----------------------
      HROReport (Test Version Ver.0.11、2003.01.20版)   ←クリック一発
      HROViewの出力ファイルをチェック&まとめるソフト
      http://nap.dip.jp/~michi/meteor/hroreport/index.html


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     【7】 参考資料と参考 Website  

  書 籍 類 

◆ CQ出版社
  ★流星電波観測ガイドブック
    2002.10.01 発行 (◆絶版◆)
    手持ち品

上記 「流星電波観測ガイドブック」(絶版)の
付属CD-ROM


◆ JARL NEWS 2010年 夏号
 (日本アマチュア無線連盟)
 
「アマチュア無線の設備を用いた流星電波観測」
(P.55~P.62 著者:JO1BOZ 臼居氏)

◆参考ウエブサイト

◆ JARL技術研究所のWebsiteです。
   宇宙の電波を キャッチしてみよう - JARL  ←クリック一発

◆ 非常に情報量のあるWebsiteです。★Good !ですね
   流星電波観測国際プロジェクト  ←クリック一発

◆ 観測方法のていねいな解説と観測結果の詳細情報
   八王子流星電波観望所へようこそ   ←クリック一発

◆ アストロアーツ 流星観測のすすめ
   流星電波観測  ←クリック一発


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     【8】 なつかしの 「 しし座流星雨 」 エコー受信画像   (参考まで)
    

画像は、JST 2001年11月19日
  02時00分~ の記録です。


2001年に日本を含むアジアで1時間あたり
2,000個の大出現を見せました。

火球が多く、とても見応えのある流星雨
でしたね。

大出現で「観測画面」が埋め尽くされました。

  

◆一年後、JST 2002年11月13日
  06時50分~ の記録です。


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     ◆ IC-R8500広帯域受信機



     ◆QSL CARD (1980年)◆

 ★FATHER OF THE HB9CV-BEAM
   AND SWISS QUAD ANTENNA


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     では・・・・この辺で
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                                             【完】 

                                         この記事のはじめへ 

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